トーナメント(オールラウンド選手権とスプリント選手権)の面白さ
私が年末に出場したスプリントトーナメントは、
500mと1000mを2本ずつ、計4本の合計タイムを競ってスプリンタ−のチャンピオンを決めます。
一方で、オールラウンドトーナメントは、
500m・1500m・3000m・5000m(女子の場合)の短い距離から長い距離まで滑った合計タイムを競います。
全ての距離のタイムを500mのタイムに換算し、4レースの合計を競う形になるので、計算方法は少しわかりにくいです。
今回の大会で行くと、
500m 1本目(38.09) →38.090
1000m 1本目(1:14.33)→37.165
500m 2本目(37.95) →37.950
1000m 2本目(1:14.44)→37.220
となります。
1000mは500mの二倍の距離なので、500mのタイムに換算すると、2分の1のタイム(1500mは3分の1、3000mは6分の1、5000mは10分の1となります)ということになりますね。
ここからが「トーナメントの面白さ」なのですが、
例えば、1つ目のレースの500mで1秒の差が1位の選手と2位の選手の間に生まれたとします。
もし2位の選手が1000mで1位の選手のトータルタイムを抜きたい場合、1000mは500mの二倍の距離になるので、
2秒以上の差をつけると逆転できるということになります。
オールラウンドでいうと、
500mの次は3000m、もし500mで1位と2位に1秒の差が発生していたら、3000mは6秒以上の差がつかない限り、
2位と1位の順位は入れ替わらないことになります。
5000mでいうと10秒。
短距離が得意な選手は500mや1500mでできるだけ超長距離の選手に差をつけておきたい。
超長距離の選手は専門分野でその差をどこまで挽回できるか。
その戦いが2日間の間繰り広げられることになります。
正直、オールラウンドはめちゃくちゃしんどいです。でも、めちゃくちゃ面白い。
本当に面白いんです。
得意な分野と不得意な分野、どこの距離にどれくらいの力を配分するのか。
1500mだと、有力選手のメンバー的に本気で頑張ったとして、どれくらいの差が着くのか。
100%を出し切った後に、約1時間半後に不得意な5000mを走ることができるのか。
1500mでのタイム差でたとえば1秒差がついても、5000mに換算し直した時に3秒ちょっとのアドバンテージしかつきません。
でも1500mを100%でいった場合、5000mで100%の状態で挑んだ時よりも、3秒以上落ちてしまう場合は大いにあり得ます。
特に短中距離が得意な選手には大きな問題となりえます。1つでも上位に行くためにはどちらをより重要視するのか。。。
そしてもう1つ面白いのが、最終種目の滑走順。
3種目の1500m終了時点で、1位通過の選手は有無を言わさず最終組で走れます。
でも2位通過の人は最終組で滑られる保証はありません。ルールとして、最終組で滑られるのは、
3000mのタイムが1位通過の人のタイムに一番近い人、というルールがあります。(私がなんとなく理解している程度の超ざっくり情報です)
5000mは1組8分弱。最終組は1つ前の組に比べ約8分のアドバンテージができます。
体力勝負になる最終種目はなんとしてでも最終組で滑りたい。。。
そういった計算も生まれるのです。
そして、最終組で滑られるというのは、2位以下の人とのタイム差も滑る前に計算できるということ。
2位の人と500m換算で1.5秒の差があった場合、5000mでは15秒までアドバンテージが得られます。
つまり、私の全力で行かないといけないのか、それとも安全策で確実に出せるタイムで十分なのか、
それによっても設定タイムが変わってきます。
ちなみに、1位通過で最終組で滑ることができ、同走者が2位だった場合、その選手と何秒までなら差がついても大丈夫。
という考えでレースに挑んだりします。(3位以下と大きな差がある場合)
面白くないですか?
自分の得意分野で、考えることが代わり、戦い方も人それぞれです。
単種目だけでは生まれない戦略が発生します。
オールラウンドはここまで考えられるくらい強くなった時に、
このトーナメントの面白さの本質を体感できるのではないかなと思っています。
個人的に、スプリントトーナメントにはこの面白さはないのかなと思っています。
全部全力で行くしかない、というのが私の結論なので・・・
逆にスプリントトーナメントでは私の中では、500mでどこまで全力を出せるか、その調整ができるかが
追求のしがいがある面白さだなと思っています。
スプリントは、体力勝負ではなく、身体機能勝負だと思っていて、2日に4本のペースで超高速の動きを全力でするには、
体力の前に、身体の機能を維持する必要があると考えています。
短距離は1本だけでも身体機能に与えるダメージは大きく、各関節の動きに影響を与えたりします。
特に2日目の500mが本当に私にとっては難しく!
毎回苦戦しているポイントでもあります。
どちらのトーナメントもただ4種目走ってるわけではなく、選手は得意と苦手を計算しながら、
得意分野では最大限のアドバンテージを得られるように、苦手分野では最小限のダメージで済ませられるように挑みます。
観戦ポイントとしては、タイム差を計算できると、順位を逆転させるには次の種目はこれくらいのタイムで滑らないといけない。
この選手は長距離が得意だから・・・うんぬんカンヌン。
こういった視点で見ると、また違った観戦の楽しみ方が生まれるかもしれません。
次のトーナメントを見る機会があったときに、少しでも参考になれば嬉しいです!